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dfh EZ Drummer について

Toontrack dfh EZ Drummer を使ってみて

ここ数年、ドラムには NI社の Battery を使っている。
リズム・マシンに似た取っ付き易いインターフェイスでありながら、同社のKontakt直系の高度な機能をもち、他社製サンプルの取り扱いにも柔軟で重宝している。
基本的なドラム・サウンドは NI社の「Battery Studio Drum」か、Steve Gaddの単発サンプルや定番のボブクリを使って自分で組んだキットを使っている。
ドラムについては、当分はこれで十分だと考えていた。

で、これは衝動買いです。
Toontrack社の「dfh EZ Drummer」を買いました。
だって、凄く安いし、キャンペーンもやってたし、オマケも付いていたし・・・。

これ、モンスター・ドラム・アプリケーション「DFH Superior」の廉価版という位置づけではあるが、実際の現場での使い勝手は直感的に改善されている。

「DFH Superior」は、実に35GB/約85,000サンプルを使用した究極の単発ドラム・パーカッション音源であった。
24bit/44.1KHz ノン・プロセッシングでマルチマイキングのハイクオリティな仕様を筆頭に、数多くのドラムパーツを自由に選択し好みのドラムキットを作成可能な他、ハンドツール(スティック、ブラシ etc..)の選択、さらには世界で初めてマイク間のリーケージ(カブリ)の完全コントロールや、マイクの位相反転など、実際のドラムレコーディング・スタジオと同等の自由度をDAW環境で実現するプラグイン・インストゥルメント。

もちろん、これだけの仕様だから、当然ながらマシン環境に要求されるハードルも高く、かなりパワフルなコンピュータに潤沢な搭載メモリーという贅沢な環境でなければ実用的では無かった。
操作性についても、DAWとの連携方法が音楽的とは言いがたく、かなりストレスがある作業を強いられた。

で、「dfh EZ Drummer」になって、この「DFH Superior」の弱点が一気に改善された。
自分に必要なカテゴリーのドラム・サウンドだけを EZX という別売りのオプションで追加する事によって、不要なサンプルを大量に装備することなくスリム化を図っている。
DAWとの連携も非常に音楽的に設計されており、8000種類にも及ぶMIDIグルーブを直接DAWに貼り付けて、リズムトラックの骨格を手軽にプログラムできる。
もちろんマイク毎のパラアウトも可能。

で、実際に使ってみての感想としては、最近のトレンドであるマルチマイクの高品位なドラム音源を手軽に使えて、かなり本気に使えるMIDIグルーブまで装備している点は、作曲や編曲のアイデア段階で曲作りに集中できる仕様として歓迎できる。
ただ、これって、これだけ手軽で誰でも使えてしまう反面、実際のオケを構築する段階で素人が本当に使えるのだろうか、という疑問もわいた。

最近流行のマルチマイクで収録されたサンプルでドラムトラックを仕上げる為には、実際のドラム・レコーディングに極めて近いエンジニアリングが求められる。
オーバーヘッドマイクやルームマイクのバランス調整によりドラム・サウンドの方向性を決定した上で、スネアやキックといったそれぞれのマイクに対して EQ処理やコンプ処理が必要になってくる。

「dfh EZ Drummer」から普通にステレオアウトでDAWに送っただけでは、アンビエンスが付き過ぎたメリハリの無いドラムサウンドになってしまうか、逆にまったくドライでショボいドラムになる。
写真のように「dfh EZ Drummer」内にもミキサーは装備されているが、これだけで、ドラムサウンドを確定させることは不可能だろう。
真面目にドラムサウンドを作ろうとした場合、DAWに対してマイクごとのパラアウトは必須だ。
その上で、オーバヘッドやルームマイクに対し、DAW側でゲートやコンプ、更にはEQ処理(基本的にはローカットね)を行いアンビエントのコントロールが必要になるだろう。
もちろんスネアやキックといったそれぞれのパーツ毎には、ドラムそのものの音作りという観点でのコンプやEQが必要であるばかりか、場合よっては他のパーツのカブリを取り除くゲートも必要になる。
タムの余韻をゲートで落としてサウンドが濁らないようにする事も、ドラム・ミックスの基本中の基本だ。

こういった、ある意味専門家の領域のエンジニアリングが、果たして素人に可能なのであろうか?
少なくとも、この「手軽」や「簡単」をキーワードとした「dfh EZ Drummer」を購入するターゲット層に、それを求めるのは無理を感じる。
この点、製品の方向性に少し疑問に感じながらも、逆にエントリークラスの製品でもそこまでの深い作業が可能になった事による柔軟性や自由度の高さの方を評価したい。

確かに、「dfh EZ Drummer」の醸し出す、レコーディング・スタジオ(なんと、あのNew Yorkの名門 Power Station である!)のリアルな空気感は素晴らしい。
でも、この空気感ってやつがかなり気持ち良いだけに、オケの中では意外と曲者なんですよ、旦那。

あと、シンバルもオーバーヘッドだけで狙わないで、個別にマイクを立てて欲しかったのは私だけ?

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