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iPod nano 購入

iPod から感じた徒然

2Gの iPod nano を購入。

iPod nano1

iPod は第2世代から愛用しており、用途に分けて何台かを使い分けてきたが、現在はカーステレオ代わりに使っている40Gのタイプを1台所有している。
私の場合、移動のほとんどが車なので、車中をいかに快適かつ効率的に過ごすかが課題。その点、iPod は革命的に便利だ。
所有している1000枚近い CD を車に積むことは不可能だが、iPod が1台あればその環境が構築できてしまう。
その時々の景色や天候、そして同乗者等に左右されるリアルタイムな気分に合わせて、所有している CD を自由にチョイスして楽しむ事ができるのは有り難い。
現在乗っている Fairlady Z (Z33) の純正オーディオは外部入力が利用できる。よって FMトランスミッタ等を使わずに、手軽に高音質でiPodを楽しめるわけ。

で、車以外で使うiPodとしては、iPod nano が最適かもしれない。
見よ、この薄さ!

iPod nano2

実際に手にとって見ると驚くほど小さい。
これで、基本的なiPodの機能を満足しているのだから、2台目としてはベスト・チョイスだろう。
2台目であれば、ほとんどの場合、使用するシチュエーションが予め限定されている。
ゴルフの練習とか、年に数回の電車通勤とか、数日間の出張とかの限定的なニーズに対し、いつでも全てのCDをスタンバイさせておく必要は無いのだから、容量的には2Gもあれば十分だろう。
しかし、この所有欲と優越感をくすぐる質感は流石にアップルである。

まあ、ご存知のように、この手の MPEGプレイヤーについては iPod の独壇場だからね。

ところで、iPod の本質は、そのデザインとか機能とかでは無い。
それまでの歴史に対し新しい価値観を提議し、芸術や文化の可能性を広げた事だ。
iPod の出現は明らかに音楽という芸術の在り方を変えた。

iPod の出現により、聞き手側の感性の変革を経て、音楽制作現場の変革、音楽配信手法の変革が進み、その結果として音楽そのものの意味や意義すら変えようとしている。
どの過程に携わっていようとも、およそ音楽制作の現場に身を置くものは、多かれ少なかれiPod が契機となった価値観の急変を肌で感じている。
それはレコード盤が CD に置き換わったような単なるメディアの進歩以上の、音楽芸術という文化的側面の変革だ。

たぶん様々な分野で、そういったエポック・メイキングな製品は存在するはず。
こと私の専門分野である商業音楽だけに限定しても、iPod のような歴史的事件は幾つか思い当たる。

先ずは、YAMAHA DX7の出現。
この歴史的なシンセサイザーの登場によって、音楽制作の現場は劇的に変化した。
シンセサイザーが現場で使用できる安定性と楽器としての表現力を得たことにより、音楽の質が明らかに変わった。
更には聡明期の MIDI規格を音楽表現に具現化できる実用的な体系に牽引した功績は賞賛に値しよう。
その豊かな高次倍音を含む「DXエレピ」等は、もはや誰もが思い浮かぶ標準楽器だ。

次に思い浮かぶのは AKAI S3000。
このサンプラーの歴史的名機は音楽制作にサンプリングという全く新しい考え方を提議し定着させた。
S3000が実現したサンプリングというコンセプトは、それまでの「作曲」や「編曲」という音楽のベーシックな製作過程を激変させてしまった。
極論すると、従来の「作曲」や「編曲」という行為を経ないで音楽が生成され成り立つ時代を、S3000だけで実現させたと言える。
又、演奏された音楽を素材(サンプル)として扱い、それを自在に加工することによって、全く新しい音楽的グルーブを派生させた。
それらの意味でS3000の出現は、音楽という芸術領域を飛躍的に拡大させた事件。
例えば、ヒップホップやドラムンベースというカテゴリーは、S3000無しには決して生まれなかった音楽だからね。

次に、デジタル・マルチトラック・レコーディングをコンシュマー・レベルで実現可能としたAlesis ADAT と、デジタル・ミキサー YAMAHA O2R の出現もそうだ。
その当時、16トラックのフル・デジタル環境が200万円を切る投資で実現できるということは、歴史を震撼させるに足る事件だった。
この事件により、実験領域の音楽が一気に活性化し、音楽界全体に少なからずの影響を与えたわけだ。

なんか、こうやって並べてみると、やっぱり自分でも全て実際に持っていた機材だな。

前述したように、このような「時代の変革点」は商業音楽以外の分野でも多数存在するのだろう。
ただ、いずれの場合も、たったひとつのエポック・メイキングな製品だけに着目してはいけない。
何故なら、歴史の根底にあるのは人間そのものの進化だからね。
人々の感性の進化、それによる時代の要求が、テクノロジーやアートの様々な要素と複雑に反応し、熟成し、歴史を動かし変えるのだろう。
特に音楽等の芸術分野においては、新しい製品や価値観の提示を受けたときに、イノベーターとしての視点を持てるかどうかが重要。
DX7の出現時に遡れば、過去の慣習や比較論による否定的要素に囚われず、その新しい可能性を音楽に昇華させ、楽器として使いこなせるかということだ。

人間は本質的に「進化」(又は「変化」)するように定義されているのかもしれないし、「進化」(又は「変化」)が存在そのものを支えているのかもしれない。
となると、常に「前へ進めるかどうか」、それが問われるのだ。
うーむ、なかなか深いな。
けど、これは結局のところ進化論的考察。

iPod に未来を見れるか、その可能性を自分自身の価値観に具現化できるか。
iPod nano を眺めながら、そんな事を徒然に考えた。

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