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Michael Brecker

Pilgrimage

Michael Brecker の遺作というだけで音楽シーンに対する影響は計り知れず、リリース前から歴史的な意味を持つ事が運命つけられたアルバム。

Produced by Michael Brecker, Gil Goldstein, Steve Rodby & Pat Metheny
Arrangements by Gil Goldstein & Michael Brecker
Recorded at Right Track, NYC in August 2006
Mixed at Right Track. NYC in January 2007
Mastered by Mark Wilder at Sony Music Studios

Pilgrimage

先ず録音メンバーに圧倒される。
お馴染みの顔ぶれではあるが、Brad Mehldau の参加がポイント。

Michael Brecker:Tenor Sax & EWI
Herbie Hancock:Piano
Brad Mehldau:Piano
Pat Metheny:Guitar
John Patitucci:Bass
Jack DeJohnette:Drums

コンテンポラリー・ミュージックの最先端で、時代を牽引し音楽の可能性を拡大させる稀有な才能達だ。
これだけの面子が揃えば質の悪い音楽ができるわけは無い。

確かに楽曲は良くできている。
マイケルの作曲手法の特徴である調性感の希薄な変態的ラインと、それに複雑に絡み合うリズムギミックは、時としてあまりに唐突であったり、楽曲のベクトルから逸脱しすぎる傾向があった事は事実。
だが、このアルバムでは、それらの手法も楽曲が醸し出す統一された印象の中で決して浮くことが無く、丁度良い具合に消化されている。
アレンジを手がける Gil Goldstein の力量もあるのだろうが、John Patitucci が評価するように、Michael Brecker の作曲家としての成長を感じるアルバムだ。

しかしながら、マイケルの演奏に関して述べるなら、やはり往年の覇気は感じられないというのが正直な感想。
プレイヤーとしてのマイケルの頂点は、病魔の手によって確実に過去のものになった。
ただし演奏のレベルが低いという訳では無い。
マイケル個人の演奏技術としては、(もちろん若干の衰退を見せる瞬間もあるが)まだメカニカルな能力で抜きん出ている。
問題はエモーションなのだ。
悲しいことにエモーションが継続しない。
時折ではあるが、マイケルの最後の叫びがテナー・サックスに転化されない。

これだけ有能なメンバー達だから、スタジオでの数秒の音あわせでマイケルの状況は分かったはず。
だからメンバーはマイケルの「作品」に魂を入れ込もうと燃えたのだろう。
マイケルのテナー・サックスが楽曲すら超越する瞬間は聴くことが出来ない。
その代わりに、収録された楽曲には命が宿っている。
インタープレイが、マイケルの魂の叫びを代弁する。
ここに Jazz の奇跡がある。
有機体にまで変異した Jazz という現象が、逆にマイケルのテナーすら飲み込むことで意思を持つ。
それは、もはや「生命」だ。

このアルバムには現時点で考えうる最良の Jazz が収録されていることは疑いようの無い事実。
それだけで時代に終焉を刻み、新たな旅の始まりとなり得る素晴らしい作品だ。

やっぱ、DeJohnette は良いやな。

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