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Joe Pass の Solo Guitar

Joe Pass のソロ・ギター

Joe Pass / [Virtuoso]
Pablo 1973

Virtuozo


Joe Pass の「Virtuoso」シリーズとくれば、およそ Jazz Guitar 弾きを志す人ならば、一度は通らなくてはいけない試金石みたいなもの。
好きか嫌いかという問題ではなくて、とにかく目を通しておかなければならない資料みたいなもの。
インプロビゼイションでのソロ・ギターというスタイルを開拓したという側面で歴史的意味はある。

Joe Pass を聞いて、不幸にも真面目にソロ・ギターを究めようと考えてしまった場合、だいたい幾つかのパターンが決まっている。
素直に Martin Taylor 系列に進むか、ちょっと深みにはまって Jim Hall に辿り着くか、背伸びして ECM 的な Ralph Towner に行くか、Windham Hill 系伝統の Tuck Andress みたいなタイプに進むか。
ま、いずれにしてもだ、Jazz Solo Guitar 演者としての紆余曲折が始まることは間違い無い。
で、時には後悔なんかしちゃう。
「Joe Pass でやめときゃよかった」ってね。
つまり、Joe Pass はスタート地点なんだよね。

Joe Pass ってのは、Jazz の Solo Guitar を弾くにあたっての基本中の基本。
それは例えれば教科書みたいなもので、技巧的にも理論的にも既に完成され、体系化されているわけね。


技術的な難易度は限りなく高いのだけど、奏法やフレージングのほとんどがメカニカルに説明できちゃう。
血のにじむような練習量が必要だとしても、練習さえすれば必ず Joe Pass のように弾ける。
まあ、普通はそれだけの練習ができないわけだけど、努力が報われる確信を持てるというだけで、ギタリストの教材としては非常に魅力的。
モダンジャズ・イディオムを具現化する為に、フレットボード上で指をどう動かすか。
この部分では、セオリーであり、ルールであり、メソッドなのだ。
Joe Pass のギターは決してそこから逸脱することは無い。


代理コードを駆使した2-5進行の連続上で、これでもかと繰り出されるジャズ語彙。
ほとんどの局面を細かく2-5に分解することによって、とにかくモダン・ジャズの美味しいフレーズが満載。
煌びやかなバップ・フレーズが、ギター特有のスイング感と相まって、けっこうツボを突いてくる。
基本的には2-5ケーデンスでの分散和音をどう弾くかという「決めごと」だから、フレーズがコーダルになるのは当然。
それが聞き手にとっては明快で分かりやすいのも魅力だろうね。(特にソロ・ギターの場合、曲の骨格が見えなくなると、素人には辛いものがあるから。)
ビバップに代表されるモダン・ジャズが(テンション・ノートまで含んだ)高度なアルペジオだとしたら(話を単純にしてます)、その典型的な演奏が Joe Pass のソロ・ギターなのである。


で、こと音楽という大きな側面で考えた場合、「アルペジオ」には限界がある。
そんなわけで Miles Davis はモードを提唱したわけだ。(話をすっごく単純にしてます。)
別に、モードがどうこういう気はないが、モダン・ジャズ以降の音楽を演奏したい場合は、Joe Pass から先に進まなくてはならないのも事実。
Joe Pass から先となると、これが実に広い。


ま、何を言いたいかというとだ、Joe Pass は一度通れば良い、ということかな。
通らなくてはダメだけど、あそこに戻る必要は無いということだろうなあ。

それでも、ギター弾きとしては Joe Pass みたいに弾けたら嬉しいだろうなあ。
個人的には、あそこまでの境地に到達する練習量を自分に課すなんて絶対に無理。
それこそ Joe Pass 本人みたいに、リハビリ入院でギターを弾くしかない生活にでもならない限り、絶対に続かない。
人一倍の練習嫌いだから。


で、Joe Pass の大昔の動画を紹介します。
1975年の Montreux Jazz Festival でのソロ・パフォーマンス。
曲は Stevie Wonder の「You Are The Sunshine Of My Life」。
バリバリのシーツ・オブ・サウンドという演奏では無いが、個人的にはけっこう好きな雰囲気。
これ、確かレコードにもなっていた気がする。
即興でこれだけ弾ければ、弾いている本人も気持が良いだろうねえ。


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それと、せっかくだから、ソロ・ギターの動画を何件か貼っておきますわ。

Tuck & Patti の Tuck Andress が、サンタナの「Europa」をやっている動画。
この動画だけではあんまり分からないかもしれないけど、Tuck Andress って凄く上手いよ。
Patti Cathcart の声質が体質的に合わないので、 Tuck & Patti ってあんまり好きじゃないけど、Tuck Andress のギターは興味の対象です。





そして、やはりソロ・ギターを語るなら、ECM の至宝 Ralph Towner を無視はできません。
この人、ギタリストとしてのみならず、広義の音楽家として、正に人類の宝ですわ。
Jazz だとか Classic だとかを超えて、Ralph Towner だけが表現しうる、ワン・アンド・オンリーの世界があります
最近の活躍も素晴らしいけれど、個人的には、もはや ECM の伝説となったグループ、Solstice 名義の2枚(『Ralph Towner/Solstice』 ECM1060、『Ralph Towner Solstice/Sound and Shadows』ECM1095)が忘れられない。
あの深遠で研ぎ澄まされた音空間は、背筋も凍る凄味があったからね。

Miles Davis の Nardia を弾いている動画です。





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