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Carole King [Tapestry]

Carole King [Tapestry]

1971年リリースの キャロル・キングの 2ndアルバム。
もちろん彼女の長いキャリアの中でも最高傑作。
そればかりか、あらゆるジャンルの垣根を飛び越えた普遍的な音楽作品としても不朽の名作。
およそ音楽ファンを自認するならば、このアルバムだけは外せない。

Tapestry


自己主張を覚えたばかりの、飾りや駆け引きの無い素直で素朴な感情を、私小説的な形式を借りて新鮮なハーモニーと美しいメロディに乗せて聞かせるという、70年台初期シンガー・ソング・ライターの特有のスタイル。
その潮流は以後ニュー・ミュージックとカテゴライズされ、その後の商業音楽界に大きな影響を与えた。
日本においても、荒井由美や山下達郎、ティンパン・アレイといったモダニズムが生まれる背景になった。
しかし、Carole King は、単に、その音楽的フォーマットが優れていたわけではない。
彼女が描き出すのは、人の本質的な感情だ。
それは、一言で表すなら、命の輝き。
悲しく、愛おしく、壊れやすく、しかし力強い鼓動を放つ、かけがえの無い存在。

とにかく、このアルバムは、光り輝く宝石。
あらゆるジャンルの名作と呼ばれるアルバムの中でも、その輝きを失わない。
このアルバムを聞いて、何度助けられたことか。


これ、何度も泣いたなあ。
泣けるアルバムが、必ずしも良いアルバムであるとは言えない。
だけど、この [Tapestry] で流れるのは、希望の涙だ。
それは「生きていく」ということ。
どんなに小さく孤独な存在でも、我々は生きなければならない。
その先には、光が射し込む明日がある。
だから [Tapestry] には、寂寞感はあるが、暗さや閉塞感は無い。
逆に、透明で清清しい開放感に溢れている。


とにかく、大好きなアルバムです。
というか、今まで聞いてきたロックやポップ・ミュージックの中では、間違いなく最上級。
所謂「歌モノ」で、これを超えるアルバムがあったら教えてもらいたい。

バックの演奏も実に渋い。
流石に名手揃いで、この時代から考えれば、上手いし粋だし無駄が無い。
収録曲も珠玉の名曲揃い。


キャロル・キングの歌声が、深く心に染みる。
そして、音楽が心の中に永遠に残る。
40年近く経過しても、未だに色あせずに輝きを放つ。
これこそ奇跡だね。
人間の生に意図や目的が与えられているのだとしたら、Carole King は、この [Tapestry] を作るためにだけ生まれてきたのだろう。
逆に [Tapestry] という奇跡を起こすために選ばれたのが Carole King だったとも言える。
とにかく [Tapestry] は生まれた瞬間から Carole King という個人を離れ、歴史の必然となった。
数ある名作の中でも、そういうアルバムは少ない。


私も、ギミックばかりのフュージョンとか、ゴリゴリのジャズとか、わけがわからないプログレとかばかり聞いているわけじゃ無いのよ。


それではだ、YouTube で見つけた Carole King の2007年11月のライブ映像から3曲を貼っておきます。
アルバム [Tapestry] の味わい深さとは次元が異なるけれど、それでも良質な音楽が時代を超える力を見せ付けられる。
もちろん3曲とも [Tapestry] 収録のナンバー。


先ずは、「So Far Away」。
冒頭のピアノの和音一発で、それと分かる名曲中の名曲。
私なんざ、これだけで鳥肌が立ちます。
作曲家の立場で言わせてももらうと、とにかく曲の骨格が素晴らしい。
どこまでもシンプルだけど、こういう曲は書こうと思って書けるもんじゃない。
その楽曲の素晴らしさから、ロックはもちろん、ジャズやクラシックの分野でも盛んにカバーされた。
Crusaders の史上最強のライブ・アルバム [Scratch] での感動の名演が忘れられない。


次も名曲「It's Too Late」。
ここにはこれしかないというリフの必然性、編曲家としても頭が下ります。


最後は、もう、これしかありません。
歴史的な名曲です。
ジェイムス・テイラーによるカバーや、ダニー・ハザウェイの [Live] に収録された異常な盛り上がりも有名だが、なんとマーカス・ミラーとレニー・ホワイトによる Jamaica Boys が 2ndアルバム [J-BOYS] で聞かせたヒップなアレンジも最高だった。

このビデオ映像の中でも、観客がシミジミと涙を流しているけど、とにかく、この曲、泣けますわ。
「You've Got A Friend」。
私だって、すべてソラで歌えます。




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