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ギターを弾く貴公子 Andreas Oberg [My Fevarite Guitars]

Andreas Oberg [My Fevarite Guitars]
April,2008, Resonance
DVD付き

Andreas Oberg (acoustic guitar, electric guitar);
Kuno Schmid (piano, keyboards);
Marian Petrescu, Tamir Hendelman (piano);
Kevin Axt (bass instrument);
Vic Stevens (drums, percussion).


My Fevarite Guitars


思いつきで、ちょっと前に話題になっていたギタリストの CD を買ってみた。

超絶早弾きも売りにする、若手のジャズ・ギタリスト、Andreas Oberg の インターナショナル・リリースとしてはデビュー・アルバムともなる「My Fevarite Guitars」。

アルバム・タイトルからも分かるように、彼が影響を受けたギタリストにトリビュートした内容。
ウェス・モンゴメリー、ジャンゴ・ラインハルト、ジョージ・ベンソン、パット・マルティーノパット・メセニー、トニーニョ・オルタといった、まあ、ジャズ界の有名ギタリストに対して具体的なオマージュを捧げた楽曲が並ぶ。


1978年、スウェーデンのストックホルム出身。
母国では、18歳の事から才能を開花させ、一流ミュージシャンとの共演をこなし、自己のアルバムも3枚リリースしているそうだ。

とにかくだ、見よ、このイケメン・ルックス。

Andreas Oberg 1

Andreas Oberg 2


ギター界の貴公子と呼ぶに相応しいこの容姿だけで、私などは意味無く憤慨するほど。

「なーに考えてんだよ」と。
「ふざけんじゃねえよ」と。

不精ひげにさえ野性的な色気を漂わせ、フェロモン全開の男前。
体格もあからさまなジム通いの筋肉質、厚い胸板にピチっとした Tシャツがセクシーさを演出する。
北欧の地に不釣り合いの浅黒い日焼けも、どうしてなかなか板に付いている。
メディア向け写真のポージングに至っては、高級ファッション雑誌の1ページと言ってもおかしくない。
明らかに、その方面の専属コーディネイターが存在するはず。
だけどさあ、それだけで生きていけるだろうキラー・ルックスを持ちながら、なにもギターまで弾くこたあないだろうに。

「おいおい、なめてんじゃねえぞ」と。

彼の MySpace には、多数のセレブで超美人のご友人方が熱いメッセージを載せている。
そりゃあ、これだけのルックスと国立音楽院卒の若手の花形ギタリストなら、モテるわな。
正に冬ソナの「ヨン様」状態。
サッカー界のベッカム状態。
映画界のジョニー・ディップ状態。

「いい気になってんじゃねえぞ、このボケがあ!」

で、ギターは、すっごく上手。
ごめんなさい。

正統的なジャズ語彙を、あっけにとられるほどの速さで弾き倒す。
なんだこいつ。
文武両道に加え、一芸にまで秀でるとは、あまりにも卑怯じゃねえか。


そもそも、CDリリース前から、YouTube では話題騒然。
一時期は YouTube でしか見られない 幻のギタリストとして有名になったのも、そのルックスとテクニック故。
アン様のお姿を一目拝謁しようと、YouTube はお祭り状態。
ある意味、綿密なイメージ戦略の勝利。

さて、落ち着こう。
自分との比較対象とするには、全ての面で無理がある。
客観的に考えよう。

「ま、俺には関係無いけど、そんな世界もあるわな」と。


アルバム「My Fevarite Guitars」の致命的な欠点は、アレンジとドラム。
ギターは悪くない、たぶん自分的には好きな部類のプレイ。
テクニックも素晴らしいし、技巧だけに走らない抑制もある。
現代的な奏法も研究されているし、伝統的なイディオムもしっかり吸収されている。
ギターの音色も良いし、選曲のセンスも良い。
悔しいけれど、素晴らしいギター・アルバムになりうる材料は揃っている。


ただ、いかんせんアレンジが陳腐で、下世話すぎるのだ。
私の立場的に、その部分がどうしても気になってしまう。
その為に、アルバムの全体的な印象として、時代遅れ感が漂うのだ。
素晴らしい素材を台無しにしていると言っても過言ではない。
初のワールド・リリースということで、ストリングスまで入った豪華な編成ではあるが、決定的にアレンジャーのスキル不足。
というか、当然ながら決して間違ったアレンジでは無いのだが、現代的なアプローチが全く感じられないわけね。
オーケストレーションに貧弱さすら感じる。
これだけの材料を揃えながら、あまりにももったいないアルバムなのだ。


ふふふふ。
「惜しいなあ、アンドレアス君も、もうちょっとなのになあ」
くっくくくく。
「アン君も、もう少し、あか抜けないといかんねえ」
ぐふふふふ。

それに、この手のコンテンポラリーな音楽スタイルを指向した場合、明らかにドラマーの質が低すぎる。
これだけの容姿と技巧を兼ね備えながら、最後で詰めが甘かった。
惜しい、実に惜しいアルバムなのよ。
全体に漂う「三流の雰囲気」とか「バッタもん」のニュアンスとか、「安物のメッキ感」とか、逆にマニアにはたまらない味かもしれない。
最近、そんなアルバムって少ないし。

とにかく大上段に構えながら、「やっちまったなー!」というアルバムだ。
ふふふふ。
世の中って、そんなものかもしれない。
神様っているのかも。


そんなわけで、色んな意味で、けっこう楽しめるアルバムです。
DVD付きという特典も、ご婦人方には歓迎されるはず。
厭味なほど明快なマーケティングだ。
もちろん内容だってけっして悪くはないです。
ジャズ・ギターの伝統の延長線上で洗練を重ねていくと、こんな感じになるよね、っていう典型かもしれません。

上手すぎるギタリストとしての才能はともかく、アルバム全体としたら上から目線で聞けるのも好印象。
ふふふふ。
買って損はしません。


では、超絶弾きまくりの動画を貼っておきましょう。
細かいケーデンスのバップ・フレーズを、この速さで、ここまで淀みなく流暢に弾かれると、確かに快感。




もうひとつ。
ブルースのスタンダード、Billie's Bounce を弾く貴公子。
ジョージ・ベンソンばりのスキャットはご愛敬だが、きちんとした 2-5 フレーズを洗練したテクニックで聴かせる。
カメラワークは、映画俳優を映すようなアングルとカット割りで、イラつくが。
つーか、ソフト・フォーカス入ってねえか、これ。





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