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Robben Ford 今日的なブルース・ギター

== Robben Ford 今日的なブルース・ギター ==

私の場合、何故か「ブルース」をルーツに持つギタリストは、大抵の場合あまり好みではない。
ギタリストとしては、きっと珍しいタイプなのだと思う。
およそ商業音楽としてのギター・ミュージックのルーツには、ロックであれジャズであれ、ブルースの影響が顕著だからね。


Soul On Ten


Robben Ford [ Soul On Ten ]
2009 Concord Records
ASIN: B002DZX9NK

ほとんどのギタリストはブルースが好きなのだ。
私の場合は、ブルースを弾くのは好きである。
しかし、音楽作品として鑑賞する対象としてのブルースは好みではない。

例えばヨーロッパ的な寂寞感とか、スパニッシュな情念とか、近未来的なハイブリッド感覚とか、わけがわからん浮遊感とか、つまりアメリカ黒人文化固有のアーシーな感覚とは明らかに異なるフィーリングを好んできた。
ジャズにしても、当然ながらモダンジャズ以降、モードを経過し様々な試行錯誤を経て更に洗練され、結果としてブルースの記憶を全く意識させないジャズが好みではある。

素人でもやってみるとすぐ分かると思うが、ブルーノート・スケールを弾くだけではブルース・フィーリングは表現できない。
そもそもブルーノート・スケールとは「ブルース・フレーズ」から逆説的に帰結し、結果として体系化された音列にすぎない。
あくまでも学術的にブルース・フィーリングの表現方法を定義するならば、タイミング的ニュアンスまで規格化された、特定の音程の配列パターンなのだ。
そしてこの配列パターンには明らかに規則性が存在する。
つまり「ブルース的な演奏」とは、いくつかの規則に基づいた「ブルース・フレーズ」を演奏する事によって成り立ってしまうのである。

これ、真面目なブルース・マンに言ったら殴られるよな。

とは言え、「ブルース・フレーズ」が既存の和声の枠組みを逸脱する瞬間は快感である。
感覚が理屈を凌駕するわけだから、音楽表現の醍醐味とも言える。
そこから先に見え隠れする演奏者としての「自由」が好きなのだ。
その空間では、ブルーノート・スケールも主体性を持ちえる。

ただ、あからさまにブルース・フレーズを連発し、それがあたかもエモーションの代名詞のように聞かせるギタリストにはちょっと辟易する。
だって、それって、前述したように規則性のある配列パターンなのだから。


さて、そんな私でも Robben Ford のブルースについては、定期的にチェックが必要。
しかし Robben Ford って、あの爽やかなフュージョン青年だった初期から、Yellow Jackets を作ったり、Miles Davis と共演したりと自由奔放に活動してきた感があるけれど、いつのまにかブルース・ギターの大御所になっちゃたなあ。
2006年の Larry Carlton との共演なんかを見ると、いかにも「Blues」大好きって感じが良く分かる。

The Inside Story

Larry Carlton with Robben Ford



今回気まぐれで購入した Robben Ford の「Soul On Ten」も、なかなか充実した内容。
この「Soul On Ten」は今年4月のサンフランシスコでのステージを収録したライブ・アルバム。
全曲 Robben Ford のオリジナルで構成され、ベスト盤に近い選曲で聴かせる。


最近の Robben Ford って、あまりにもブルース臭くて実は嫌いだったけど、少しだけ見直した
我ながら意志薄弱だが、「ブルース・フレーズ」がこのような方向に成熟するのであれば、これはこれで、けっこう好みかもしれない。
今日的な様々な要素と融合したブルース・リックが、新しいブルース的フィーリングを形成している。
その進化が聞き手の感性を刺激し感覚の幅を広げた結果として、「ブルース・フレーズ」が単なる配列パターンを超える可能性を感じる。
つまりだ、「ブルースにも新しい可能性が残されているかも」という反省。
下世話だが、ブルース・フレーズの中で新鮮に聞かせるツー・ファイブ・ケーデンスに痺れる。
なんだよ、俺。


このライブ・アルバム、ギターの音色的には荒さが目立ち、誰しもが Robben Ford に期待するクリーミーな「Damble Tone」では無い。
逆に、その若干の荒さが功を奏しエモーションは伝わるとは言えよう。
けっこう尖ったトーンだけど、印象としては耳に痛くなく、なかなか良い。


でも、やっぱ、当方としてはあの甘く伸びる珠玉のトーンが聴きたかったのも事実。
だって Robben Ford のギターの魅力の一つは、所謂「Carlton-Robben Tone」と呼ばれるほど有名な1970年代後半~1980年代の Damble アンプ の音色だし。
どこから歪んだのか分からないほどスムーズで、太く歪んでいても透明でクリーンと形容される、あの音ね。

余談だが、最近の Robben Ford は Damble アンプ の代用で Hermida Audio 社 の「ZenDrive」というコンパクト・エフェクターも使っていた。
これ、まだ日本では正規に流通していなけれど、数年前の入手困難な時期に比べ取引価格も下落し、今ではブティック・エフェクターとしてはけっこうお手頃な値段(定価199USD、日本国内取引相場で25000円程度か)。
後継の「ZenDrive 2」も出ているようで、真剣に気になっています。

さて、Robben Ford のライブ動画を貼っておく。
初めは2001年のパリでのライブ映像。曲目は Nothing To Nobody。

次は1997年のドイツでのテレビ・ショーの為のライブで、曲目は The Camp。
ベースは Chris Chaney、ドラムはなんと Gary Novak、こんなところにいたのか。

どちらも、ギターは1960年のオールド Fender Telecaster 。
レスポールや335等のハムバッキング系での、例のとろけるような Carlton-Robben Tone の他に、このテレキャスの音色も Robben Ford の代表的なギター・サウンド。
個人的にはあまり好みでは無いテレキャスのトレブリーな音色すら、ピッキングの緩急に反応してギター本来の「鳴り」を感じさせ、意外にもツボにはまる。
これも Damble アンプの、もうひとつの魅力的な側面。
テレキャスの個性を生かしながら、こんな風にソロを弾けるって、けっこう凄いことです。

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