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Ralph Towner [Chiaroscuro] & Diego Barber [Calima]

最近感銘を受けたアコースティック・ギター作品を2つ紹介しておこう。
どちらもガット弦の生ギターを指弾きで奏でるスタイル。

[Chiaroscuro] : Ralph Towner

Chiaroscuro

[Calima] : Diego Barber

Calima


この2つの作品は、趣が全く異なりがらも、どこかに共通した感触があり、その迷いのない凛とした印象が当方の琴線に触れた。

冬枯れの木々の間から、熱を失いながらも迷いなく一条に差し込む日差しを見上げた時の眩しさ。
風の中で宇宙まで見渡せるような透明な空の開放感。
どうしようもなく泣いた後に感じる、無垢な清々しさ。
そんな作品だ。



[Chiaroscuro] : Ralph Towner
Original Release Date: 2010
Label: Ecm Records
ASIN: B002PW6J60

Ralph Towner (classical, baritone and 12-string guitars), Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn)


Ralph Towner


「Chiaroscuro」は、孤高のギタリスト Ralph Towner の ECM 通算22 枚目のリーダー作であり、本作が ECM デビューとなる Paolo Fresu とのデュオ。

いまや全ヨーロッパを代表するトランペッターに成長した Paolo Fresu の哀愁をおびた美しいトランペットと、Ralph Towner の研ぎ澄まされたギターとの至高のデュオ。

普通、この手のフォーマットで ECM とくれば、少なからず内証的で、ある種の緊張感を伴ってしまう。
もちろんそれはそれで ECM ミュージックの醍醐味となる部分ではあるが、聴き手の状況によっては時としてその世界が重すぎてしまう場合もある。
本作もそのような ECM らしいムードは存分に堪能できるのだが、それに加えて全体に漂う開放的とか明るさといった印象が特徴。

とにかく透明で美しい音世界でありながら、その輝きが伸び伸びと外に向かう溌剌さが秀逸。
これは Ralph Towner だけでは表現できなかっただろう新鮮な感触。
その意味では Paolo Fresu という人の存在がしっかりと機能した作品。
至福の音世界です。



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[Calima] : Diego Barber
Original Release Date: March 24, 2009
Label: Sunny Side Records
ASIN: B001QWFU1U

Diego Barber (g) Mark Turner (ts) Larry Grenadier (b) Jeff Ballard (ds)


Diego Barber


当方クラシック・ギターは流行りものくらいしか積極的に聞かないわけで、最近では密かに村治佳織とかを追いかけている程度。
自分でもアルハンブラあたりまでは面白がって弾くが、その先の奥深さを敬遠して、真面目に取り組む事はこれから先も無いだろう。
しかし、この Diego Barber なるギタリストが、その世界の技巧をしっかり身に付けていることは本作を聞けば十分に判る。
ちょっとネット上で調べてみたところ、次のような経歴が見つかった。


「地元カナリア諸島の音楽学校を卒業後マドリードに移り住み、アルトゥロソリア音楽院 ( The Conservatory of Arturo Soria ) でクラシック音楽を学んでいる。その後、サラマンカ王立音楽院 ( Conservatory Superior of Music of Salamanca ) でクラシックギターで学位を取得し、さらにオーストリアにあるザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学 ( Mozarteum University in Salzburg ) でも著名なクラシック・ギターの権威、マルコ・タマヨ ( Marco Tamaya ) に二年間師事した。マイアミ第一回国際ギター・コンテスト ( 2005年 ) で優勝をはじめ数多くのコンクールで優勝。」

経歴的には、なんだか凄い感じだ。
そんなバリバリのクラシック・ギタリストが、いきなり Jazz の世界に羽ばたいたのが本作。
2008年4月のニューヨーク録音で、バックには今をときめく Mark Turner (ts) Larry Grenadier (b) Jeff Ballard (ds)という「FLY」のメンバーを起用。
下手をすれば探り合い的な内容になってしまいかねないシチュエーションだが、これが実に奇跡的な融合を聴かせる。

ガット・ギターの Jazz ものとくれば、前述の Ralph Towner のような独特の路線は別としても、民族的な情念を感じさせるスパニッシュやフラメンコ的な切り口とか、Earl Klugh に代表されるメロウ&スムースな癒し系とか、古くは Laurindo Almeidaに代表されるブラジル・ボサノバ系とか、だいたいが典型的なパターンからの派生形となることが多い。

しかし、この[Calima]で聞くことができるサウンドは、それらのカテゴライズを絶妙にすり抜ける。
もちろんマドリードの陽光を感じる瞬間もあるが、それが民族音楽の吸引力を持つこと無く Jazz のダイナミズムに進む。
このあたりは、バックを固めたメンツのしなやかさとモダニズムがオーガニックに作用していることは間違いないだろう。
とにかくサウンドが透明な開放感と躍動感に溢れていて、聞いていて新鮮。
ニューヨークのファンク的な要素も垣間見せながら、叙情的な側面も残す絶妙なバランス。
久しぶりに楽しめたアコースティック・ギター作品であった。




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