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Fourplay [ Let's Touch The Sky ] ちょっと残念なギタリスト交代作

Fourplay [ Let's Touch The Sky ]


Let's Touch The Sky

Audio CD (October 25, 2010)
Original Release Date: 2010
Number of Discs: 1
Record Label: Heads Up


やっぱね、いくらニューヨークでファースト・コールであったとしても、Chuck Loeb では小粒すぎたわ。
Fourplay の11枚目のアルバム「Let's Touch The Sky」は、巷ではけっこう好意的に受け止められているけれど、当方としては、いまいち。

ま、その「好意的」の中身は、今回のギタリストの交代で Fourplay のイメージが大きく変わってしまわないかという漠然とした不安が払拭されただけって感じなのかもしれないのだが。

Chuck Loeb というギタリストは、前作までの Larry Carlton とはずいぶん趣の異なるプレイ・スタイル。
最近ますますブルース寄りになって、ダンブル・アンプの甘いながらも芯のあるトーンにも磨きがかかり、水を得たように粘りまくる Larry Carlton のプレイと比較してしまうと、良く言えば「都会的」とか「洗練」とか、悪く言えば「歌心がない」とか「軽い」といった形容になるだろう。
これって、語りつくされた Larry Carlton に対する Lee Ritenour の立ち位置。
本質とは次元が別だけど、Larry Carlton と Lee Ritenour の 2人は未だにこういう対比で語られる事が多いわな。

つまりね、今回のギタリストに交代によって、Fourplay というバンドが Lee Ritenour が在籍した頃のムードに回帰したと受け止められているようなのだ。
もともと、 Fourplay にマッチするギタリストという部分では、Larry Carlton より Lee Ritenour ってのが一般論として定着していたわけだし。
実際、当方が見聞きする「好意的」の内容のほとんどがこの理由。
「渋い人選だねえ」とか思いっきりポジティブに捉えている人が多いのにも驚いた。


だけどね、これ間違いです。
自信を持って断言できる。
Lee Ritenour の代わりは Chuck Loeb じゃ無理だし、Fourplay が Fourplay であるには Chuck Loeb では難しい。
明らかに、音楽家として小物すぎるのだ。


確かに Lee Ritenour の洗練は所謂 Smooth Jazz 聡明記の Fourplay にはマッチしていたけど、Chuck Loeb の加入を「待ち望んだ変化」的に受け止める意見には違和感がありすぎる。
おいおい、そんなに Larry Carlton じゃダメだったのか?


そりゃ、いくらなんでも下手じゃないよな、Chuck Loeb だって。
というか、十分に上手いし、きっちりと Jazz のラインも弾けるし、マトモなギタリストであることは事実。
だけどね、今回の「Let's Touch The Sky」を聴いてはっきりと判ったのだけど、Fourplay って、Bob James と歴代ギタリスト達のイーブンな力関係によって成り立っていたわけよ。
いや、もっと言ってしまえば、Bob James が本来の才能を発揮するアレンジャーとかプロデューサー的な立場でサポートに回るくらいのギタリストでなければ成り立たなかったのかもしれない。
楽曲の雰囲気、演奏の範囲、グルーブやニュアンスを牽引する影響力、つまりトータルな存在感。
そういう音楽家としての資質の側面で、Bob James とまともに対峙できる個性があり、対等な力関係を誇示できる技量があり、更には経験から身につけた協調性もある、ってのが最低条件。
その上で、自分の音楽をはっきりと主張できる人材で無ければ Fourplay のギタリストは務まらない。
そう、Fourplay のメンバーに求められるのは「リーダーとしての資質」なのだ。


「Let's Touch The Sky」の Chuck Loeb からは、音楽家としての主張が感じられない。
ソロ・スペースではきちんとソロを取り、バッキングでは無難にバッキングをする。
しかしながら、それは Fourplay のギタリストであるというより、セッション・マンの仕事ぶりだ。
そこに、音楽を牽引する主張や存在感を感じられない。


これじゃ、単なる Bob James のバンド。
リリカルになっただの、エレガントさが増しただの、盲信的な前向き評価じゃなくてさ、このまま進んだら普通にボブ・ジェーの退屈サウンドに辿り着く。
この中では Nethan East も Hervey Mason も有機的に機能しない。
Fourplay の奇跡って、こんなスタイルでは発生しないんだよ。
もちろん、これはこれで悪い音楽では無い。
でもね、あの珠玉の Fourplay サウンドは、4人の音楽家達の絶妙なバランスで成り立っていたのだ。
鳥肌が立つような緊張感とビロードのような滑らかさを共存させ、ガラス細工のように繊細でいて雄大な波のようなグルーブ感も併せ持つ。
4人がお互いに主張しながら、更に高い次元で音楽のベクトルを共有し、刺激し補いあい、ひとつになった時に、そんな Fourplay という奇跡が生まれるのだ。
残念ながら Chuck Loeb では、そのバランスは取れない。

Chuck Loeb


まあ、立場的にビビッちゃってるのかもね。
だけどこのアルバムを聞く限り、どうせ小粒 なら Paul Jackson Jr. あたりのほうが、もっとセンスが良かったと思う。


なんだかんだ言っても、Lee Ritenour と Larry Carlton は、やっぱり流石だったんだよ。
バッキングをしていても、さりげないフィルが主メロを食い、悶絶するような絶品の瞬間を演出してたじゃない。
それは単なる「バッキング」ではなく、楽曲をオーガニックに成熟させ、メロディの意味すら変える主張だった。
ソロならば、そのラインとダイナミクスがリズム隊にエモーションを注ぎ込み、バックと渾然一体に溶け合って更にそこから新しいサウンドを浮かびあげてくれたじゃない。
個人の感性に自己満足しない大局に到達し、正に Fourplay の必然たるソロを弾いたのだ。
ギターがテーマを弾けば、譜割から自由に羽ばたき、どこまでも Larry Carlton らしく、限りなく Lee Ritenour らしく、伸び伸びとメロディが歌っていたでしょ。

「Let's Touch The Sky」は、Fourplay のギタリストに求められる資質を明確にした。
その稀有な資質を持ちながら、かつツアーもこなすパーマネントなグループに加入しうるギタリストは少ないだろう。
それに、やはり今までの Fourplay の音楽性から逸脱しないギタリストが望まれるとなると、選択肢は限りなく少ない。
(それに、アメリカ社会のダークな側面では、「人種的バランスを考慮するとギタリストは白人に限定せざるを得ない」という暗黙の制約が無いとは言えないし。)


でもね、ここは Fourplay のムードや曲調に合う合わないという先入観は無視して、単純にその資質を満たすか満たさないかだけで人選し、あっと驚くようなギタリストが加入するのも面白いと思う。
Chuck Loeb クラスがなんとなく Fourplay っぽいギターを地味に弾いているより、今までの Fourplay のイメージを覆すようなギタリストのほうが良いのかもしれない。
どんなに異端なギタリストであっても、その資質さえ正しければ、絶対に Fourplay は破綻しない。
逆に更なる高みに昇るはずだ。
なんたって、それだけのメンツが揃っているんだからね。

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コメント

Fourplayを聞いていると、たまにこの幼稚なレビューが見たくなる。

古くからのFourplayファンです。
なかなか厳しい評論?ですね。
確かにjazz趣向が強いChuck Loebになって雰囲気は大きく変わりましたが、
これはこれで、良いと思ってます。これをきっかけに、
Chuck Loebのアルバムも聴いたのですが、良い感じです。
あっ! FourplayのギターとしてのChuck Loebの評論でしたね(笑)
癌で亡くなった事も、あまり取り上げられないChuck Loebの
ご冥福をお祈りします。

あまりに幼稚なレビューでした

アマチュアのおっさんが書いたかなり残念なレビューごっこってとこですね

Bob JamesとFourplayのCDは全部持っています。全く同感です。なるべく早く若くて将来性にあるギタリストを望みます。Bobもかなり歳ですし・・・

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