Thing of the Roots

ルーツ的なもの その9  George Benson [ Breezin' ]

George Benson [Breezin']
Audio CD
Original Release Date: 1976
Number of Discs: 1
Label: Warner Bros.


Breezin'


まあね、このアルバムについては説明不要かもしれない.
音楽シーンのトレンドが大きく動いた時期に一世を風靡し、Jazz / Fusion だけでなく Black Contemporary や Soul Music、そして Pops にも多大な影響を与えたヒット作。
間違いなく歴史を変えたアルバムであり、1976年のグラミー受賞作。
これ、聞いたよなあ。

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ルーツ的なもの その8 [ Terje Rypdal ]

1970年代初期の Miles Davis の実験的なコンセプトを継承しつつ Jazz と Rock の狭間を自由に行き来し、ある時はヨーロピアン・フリー・ミュージックの中で浮遊し、又ある時は完全に自己満足的なオーケストラ作品を書いて現代音楽に疑問符を投げかける。
時に何を血迷ったか若手ヘビメタ・ギタリストと喜々として共演し、何の裏も無い普通のハードロックを堂々と演奏する。
意味不明な歌バンでプログレ的芸風を暴露したか思うと、突然地味なフュージョン・バンドを結成して精力的に活動したりする。
誰がどう考えても歪ませたストラトキャスターのトーンがトレード・マークでありながら、影響を受けたギタリストに Wes Montgomery の名を挙げる。
Terje Rypdal、1947年8月23日、ノルウエーのオスロ生まれ。
全くつかみどころのない、変態ギタリストである。


Terje_Rypdal


当方、今時点で、この節操なしのオヤジをフォローしているかというと、必ずしもそうではない。
しかしながら、遥か昔の一時期、今に至る当方の音楽的嗜好にけっこうな影響を与えてくれたという点では、ルーツ的なものであることは事実。

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ルーツ的なもの その7 [ Quincy Jones という存在 ]

ルーツ的なもの その7
[ Quincy Jones という存在 ]

自分が作編曲家を目指した最大の動機が Dave Grusin であったことは過去のエントリーでも書いた。


ただ、コンポーザーやアレンジャーとしての存在意義とか立脚点とか、つまり音楽をクリエイトするという行為に対峙する時の根源的な拠りどころとしては、常に Quincy Jones が精神的な指針であったことは事実。
その意味では、私はグルーンよりクインシーに支えられたのだと思う。
Quincy Jones がいたから、音楽制作の現場で自分自身を見失わず、自分を信じて乗り越えられた山はある。

Quincy Jones


昔の事を書こう。

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ルーツ的なもの その6 [ Bill Evans Waltz For Debby ]

ルーツ的なもの その6
Bill Evans Trio : [ Waltz For Debby ]

エバンスの「ワルツ・フォー・デビー」と言えば、もう誰でもが知っているピアノ・トリオの名盤。
Jazz や、ましてや音楽に興味が無い人々でも、必ずどこかで1度は耳にしているはず。
それほどポピュラーなアルバムだ。
録音は1961年6月25日、ニューヨーク、ビレッジ・ヴァンガード。
そこに天使が来た、とまで形容する人もいるほど。

大昔に佐藤充彦だったかが、何かの雑誌のエッセイで
「ジャズ喫茶の扉を開けた時にちょうど My Foolish Heart の出だしの Eアフタクト がコトリと鳴った。
その瞬間にすべてが分かった。」
と書いた。

Waltz For Debby

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ルーツ的なもの その5 [ Lee Ritenour ]

ルーツ的なもの その5

ギタリスト的なルーツとしては Lee Ritenour に間違いない。


松原正樹に受けた影響が自分の根底にあることは認める。
ジェフ・ベックの「Blow By Blow」に受けたショックも忘れられない。
しかし、ギターを弾く事を生業にしようかと真剣に考えたきっかけは、リー・リトナーの2ndアルバム「Captain Fingers」なのだ。

Captain Fingers


今のリトナーは「円熟」という言葉が相応しい成長を遂げている。
溌剌としたカーリー・ヘアーの若者の髪も寂しくなった。
でも、未だにリトナーはリトナーであり、常に新しく変わり続けている。
そこが、Lee Ritenour というギタリストにシンパシーを感じる部分なのである。


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ルーツ的なもの その4 [ 矢作俊彦 ]

ルーツ的なもの その4

確かに村上春樹には共感した。
でも、矢作俊彦。
辻邦生でもなく、もちろん埴谷雄高でもなく、矢作俊彦。


あの時代、ロックがそうであったように、矢作俊彦も「生き方」だった。
「生き方」という表現が大袈裟であれば、背伸びした若僧が世の中に対峙するスタンスだったと形容しても良いだろう。

三島由紀夫文学賞を受賞した「ららら科學の子」や、大友克洋とのコラボレーションで話題を呼んだ「気分はもう戦争」等は別として、1978年の「マイクハマーへ伝言」は衝撃だった。
雨の首都高横羽根線、見事なカットバックで描かれた DOHC 3.2リッター DATSUN とのカーチェイスは、小説の枠を軽く飛び越えて映像美すら感じられた。
乾いた退廃を漂わせながら、5人の若者の刹那的なアイディンティティすら吹き飛ばしていく圧倒的な疾走感に鳥肌がたった。
そこには、先の見えない諦めの前でも一瞬燃え上がる命の輝きが見えた。
時速120マイルで駆け抜けるほんの数分の中に、予想を超える濃密な物語が展開し凝縮される。
スタイリッシュな文章と類い希な比喩表現、そして日本的湿度を適度に加味した等身大のハードボイルド。私にとっての矢作俊彦の出現は、退屈な純文学が道を開けた衝撃であり、もはや事件だった。

Mike

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ルーツ的なもの その3 [ Keith Jarrett : The Koln Concert ]

ルーツ的なもの その3

ご多分に漏れず Keith Jarrett には打たれた。
もう30年以上も昔の話だ。
まだ世間知らずの若造を、音楽という文化や芸術の在り方に対する根源的な問いに対峙させた体験。
ECMの誇る名盤「The Koln Concert(ケルン・コンサート)」である。


Koln Concert


キース・ジャレット、たぶんピアノ弾きなら誰でもが通る熱病のようなものかもしれない。
あいにくこちとらギター弾きである。
楽器の枠ではなく、いきなり音楽の在り方という深遠な部分に対峙しちゃったわけで、これはキツかったわ。

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ルーツ的なもの その2 [ Dave Grusin ]

ルーツ的なもの その2

Dave Grusin。

自分が作曲家や編曲家を志した最大の動機。

まあ、Quincy Jones となると別格で手の届かない天上の人という雰囲気があるけど、グルーシンならなんとなく現実的だったのかもしれない。 当時は Bob James っていう選択肢もあったわけだけど、その洗練され具合でグルーシンが好みだった。


Mountain Dance


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ルーツ的なもの その1 [ Brecker Brothers ]

ルーツ的なもの その1

確実に Brecker Brothers で育った時期がある。

Brecker Brothers


街中でクラクションが聞こえても、食卓で食器が触れ合う音を聞いても、すべてその前に16分音符を感じてしまうという恐るべき難病「ブレッカー病」にも侵された。
この「ブレッカー病」は、病が進行するにつれて正常なハーモニー感覚を麻痺させ、やがては物事が普通に在るべき位置に在ることが不快になり、日常の平衡感覚をも奪い去る恐るべき病気なのである。
かくいう私も、一時期は全ての音符を16分裏に移動させないと気が済まない症状となり、和声学的に絶対に説明が付かない音しか選べなくなるという末期症状も経験し、作曲家・編曲家としての社会復帰が危ぶまれた。

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